カヌレおばあちゃん

朝のストーブ前。
毎朝いちばんに陣取っているのは、うちのカヌレおばあちゃんです。

昔からサークル生活を頑なに拒否した、ただひとりの子。
若い頃から自由気まま、意思の強い女の子でした。
カヌレは、うちで一番運動神経がよかった子でもあります。
階段もソファーも軽々、膝を叩けば、ふわっと飛び乗ってきたあの身軽さ。
あの頃のカヌレの瞳は、ブラウンらしいアンバー色で、本当にきれいでした。
でも今のカヌレは、階段もソファーももう登れません。
瞳も白くなり、膝に乗るにも「よいしょ」と、手を添えてあげないといけない。
お腹も少し弱くなりました。
朝、ストーブの前でぬくぬくしている姿は、それはそれは可愛いのだけど、
同時に “年月ってこういうものだなぁ” と感じさせられます。
犬を迎えるということは、
元気いっぱいの子犬の姿だけでなく、
こんなふうに老いていく姿も、丸ごと背負ってあげることだと思っています。
でもね。
何ができても、できなくなっても。
カヌレはやっぱりカヌレで。
相変わらず愛しい、小さなおばあちゃんです。

